医療保険

医療保険は必要か?

「医療保険って必要なのかな?」と感じておられる方も多いと思います。もしケガや病気で入院、手術が必要になった時に補償が受けられるのが医療保険ですが、加入する人によって必要性が高い人と低い人に分かれます。そのため自分にとって医療保険に加入する必要があるかどうかをしっかりと見極めることが大切です。このページでは医療保険の必要性やメリットが大きくなる人について解説しています。

公的な医療保険との違い

現在の日本で国民皆保険制度によって誰しもが何らかの公的医療保険に加入しており、一般的には健康保険と呼ばれています。健康保険への加入は義務となっていますが、民間の保険会社が販売している医療保険への加入は任意となっており、必要性に応じて加入することになります。

公的医療保険では、保険証を窓口で提示することで、自己負担額が医療費の3割(場合によっては2割)となったり、高額な医療費となった場合も一定額を超えた場合に還付されたりする制度があります。他にも、病気やケガのため休業することになった場合、その間の補償として手当金がもらえたり、出産時や埋葬時にも給付金がもらえたりします。

一方、医療保険では、保険会社によって定められている入院・手術などに対して、契約内容に応じた保険金が支給されます。
公的医療保険では保障されない先進医療なども、医療保険に特約を付けることにより保障対象となります。

医療保険の必要性を考える上で、入院にかかる費用はどのくらいなのかを知っておくことは大切なことです。
生命保険文化センターの「生活保障に関する保障(平成28年度)」によると、1入院に必要な自己負担額は平均で22.1万円という結果が出ています。
さらに1日あたりの自己負担額は平均で19,800円(治療費、食事代、差額ベッド代、交通費、衣類、日用品を含む)となっています。

保険が適用されない費用もある

医療費の中には、公的医療保障では保障されないものもありますので注意が必要です。

・差額ベッド代
・入院中の食事代の負担額
・パジャマやテレビ代などの日用品
・先進医療を受けた場合の技術料

これらは、保険の適用外となるため、利用した場合は全額自己負担となります。

医療保険が不要と言われる理由

ではここからは、医療保険が不要と言われている理由について見ていきましょう。
医療保険は、公的医療保険とはまた違った保障内容となっているにもかからわらず、「医療保険は必要ない」と言われることがあります。
それはどのような理由からなのか、医療保険の必要性について考える前に、不要とされる理由について確認していきましょう。

公的医療制度が充実している

まず第一に考えられる理由として、日本は他の国に比べて公的医療制度が充実しているという点があります。
医療保険不要論において、高額療養費制度と疾病手当金がその最たるものですので、それぞれについてご説明していきます。

高額療養費制度

1ヶ月にかかった医療費の自己負担額が一定の額を超えた場合に、超えた分の金額を公的保険が肩代わりして支払ってくれる制度をいいます。
上限額は年齢と所得によって異なりますので、下表を参考にしていただければと思います。

区分 年収 1ヶ月あたりの自己負担限度額
上位所得者 約1,160万円以上 25万2,600円+(総医療費-84万2,000円)×1%
約770万~1,160万円 16万7,400円+(総医療費-55万8,000円)×1%
一般 約370万~770万円 8万100円+(総医療費-26万7,000円)×1%
約370万円未満 5万7,600円
低所得者 住民税非課税世帯 3万5,400円

この表からもお分かりいただけるように、70歳未満の一般(年収約370万~770万円)の方の場合、1ヶ月の自己負担額は10万円未満に抑えられます。

疾病手当金

病気になったり怪我をしてしまったりすると、心配なのは医療費だけではありません。
これまでのように働けなくなってしまうと、収入が減ったり全くなくなったりすることが考えられます。
こういった収入の減少を補償するものとして「疾病手当金」があります。
就業ができず、会社からも充分な報酬が支払われない場合、健康保険から給料の約7割を支給してもらうことができます(最長1年6ヶ月)。
この制度は社会保険加入者のみに適用されるものなので、国民健康保険に加入している方は利用できませんが、この制度も医療保険が不要とされる理由のひとつとなっています。

すべての医療費が対象となっているわけではない

医療保険に加入していればすべての医療費が保障対象となると思っている方もいますが、実は実費分全部を支払ってくれるわけではありません。
保障対象となるのは、あくまでも契約に該当したものだけになります。
医療保険では、入院費用と手術費用が基本保障となっており、その他の保障もカバーしてもらいたい場合は特約を付ける必要があります。
また、支払い対象日数に満たない場合や、逆に支払限度日数を超えた分については給付金がおりませんし、契約にない手術をした場合にも保障されません。

保険料を貯蓄に回した方がいい

医療保険は、手術や入院した際の保障であるため、そもそも病気やケガをしなければ保険料がムダになってしまいます。
そのため、必要かどうか分からないものに毎月お金を使うよりも、その分を貯蓄しておき必要になったらそこから使えばいいと考える方もいます。
もし医療費が必要にならなければ、他のことにお金を使えますので、ムダのない方法だともいえます。
しかし、そもそも保険とは「万が一の備え」であるため、損得だけで考えていいものかどうかは疑問なところです。

入院することが前提となっている

一般的に医療保険の給付条件は、「入院1日につき10,000円」や「入院を伴う手術1回で50,000円」といったように、入院したことが前提となっていることが多いです。
しかし、最近は国も医療費の抑制を図るため、通院治療や在宅両方を推進するようになってきており、病院は入院日数を短縮する傾向にあります。
また、医療の発達により手術をしても日帰り手術で帰れるケースも増えてきており、以前のように手術をしてから長期間入院するといったことが少なくなっています。
そのため、医療保険制度そのものが時代に即していないと言われることがあります。

医療保険が必要とされる理由

医療保険が不要とされる理由についてご説明してきましたが、ここからは医療保険が必要とされる理由について見ていきましょう。

今後の保障制度に不安がある

皆さんご存知の通り、現在の日本は少子高齢化社会となっており、今後も高齢者人口割合の増加が予想されます。

それに伴い、国の医療保障費が今後も一層増大することが考えられます。

そのため、医療費の自己負担3割や高額療養費制度などの医療保障制度が、将来にわたって同様に適用されるかというと、それはかなり不安視されます。

国の医療保障費が逼迫すると、その分各自の自己負担額が大きくなることは必至で、家計における医療費の割合も大きくなる可能性があります。

治療費を気にせずに治療を受けられる

最近は入院日数が短縮化されているとはいえ、病気やケガによっては長期間の入院になることもあります。

高額療養費制度により、1ヶ月あたりの上限額が決められていても、やはり入院となると医療費や家族の生活費など、お金の心配が出てきます。

貯蓄をしてある場合でも、治療費がどのくらいかかるのか、またどのくらい仕事を休まなければならないのかによって、費用が賄えるか心配になります。

手術や入院は、それだけで大きな不安のあるものです。

その上にお金の心配が重なると、治療に専念するのが難しくなります。

お金の心配をせずに早期回復を目指すためにも医療保険は心強い味方となってくれます。

先進医療は高額になることがある

先進医療とは、厚生労働省が認める先進的医療でありながらも、公的医療制度では保障対象とされていない医療技術のことをいいます。

先進医療は保険証が利用できないため、全額自己負担になります。

「でも、高額療養費制度があるでしょ?」と思う方もいるかもしれませんが、先進医療は保険外診療にあたるため、高額療養費制度も利用できません。

先進医療に備えるためには、医療保険に「先進医療特約」を付けることが効果的です。

自営業や個人事業主などは疾病手当金が給付されない

日本の医療保障制度は手厚いものとなっており、疾病手当金もそのひとつですが、これは社会保険加入者に加入している方のみが受けられる保障で、自営業者や個人事業主などは利用することができません。

したがって、公的医療保障で賄えない分を医療保険に加入してカバーしておく必要があります。

なお、所得補償に関しては、「所得補償保険」というものもありますので、医療保険と併せて加入することを検討してみてもいいでしょう。

医療保険への加入を検討すべき人

これまでご説明してきました、医療保険が不要とされる理由・必要とされる理由から、医療保険への加入を検討すべきなのはどのような人なのかを導き出してみました。

「医療保険に加入したほうがいい?」と悩んでいる方は、ご自分が当てはまるかどうかチェックしてみましょう。

貯蓄が十分でない人

貯蓄が十分にある方の中には、医療保険に加入せず貯蓄から医療費を賄うと考える方もいます。

しかし、貯蓄が十分にない方は、医療費に回す余裕がないため、医療保険に加入して別枠で備えておく必要があります。

また、貯蓄はあるけれども切り崩したくない方も、医療保険に加入しておくと貯蓄を減らさずに済みます。

自営業の人

自営業の方は、病気やケガで手術・入院をして仕事ができない期間ができてしまうと、その間は無収入となってしまうケースが少なくありません。

また、すでにご説明しましたが、自営業の方は高額療養費制度を利用することはできますが、疾病手当金を受け取ることができません。

社会保険加入者に比べて、充分な公的医療保障がなされているわけではありませんので、足りない分を医療保険で補う必要があります。

入院・治療中の生活費を確保したい人

入院中や治療中はこれまでのように仕事を続けていくことができないことがあります。

収入が少なくなる上に医療費がかかると、いくら高額療養費制度があるとはいえ、家計に与えるダメージは大きいです。

そこで、医療費は医療保険の給付金で賄うことができれば、それ以外の生活費は確保しやすくなります。

入院したり手術受けたりする際は、その費用だけでなく通常の生活費もこれまで同様にかかることを忘れてはいけません。

先進医療にも備えておきたい人

すでにご説明したとおり、先進医療は公的医療制度では保障対象外となるため、治療を受けた場合は全額自己負担になります。

もちろん全ての先進医療の費用が高額になるというわけではありませんが、高額ではなくても全額自己負担というだけで、その負担は大きなものとなります。

例えば、先進医療はどの位の費用がかかるのか一例をご紹介すると、重粒子線治療が約310万円、陽子線治療が約260万円、高周波切除器を用いた子宮腺筋症核手術が約30万円となっています。

2~300万円の治療費を貯蓄だけで賄うのは非常に難しいでしょう。

医療保険の必要性は世代ごとでも異なる

医療保険の必要性は、世代ごとでも異なります。

若い世代は独身で病気知らずの方も多いため、医療保険に加入することを考える方はそう多くはないでしょう。

一方で、年齢を重ねるごとに病気やケガへの備えを考えるようになり、「医療保険で備えておこう」という気持ちになるでしょう。

では、世代別にみる医療保険の必要性について見ていきましょう。

20代~30代

20代~30代の方は、まだ若く大きな病気をしたことがない方が多いため、病気になった時の備えについて考える方はそう多くはありません。

特に、独身の場合は守るべき家族がまだいないため、医療保険を検討することはそれほどないでしょう。

しかし、医療保険が必要になるのは病気のときだけではありません。

ケガで入院・手術をすることになる可能性もあります。

また、最近は若い女性でも乳がんや子宮がんなどに罹患するケースが増えています。

若いうちは勤続年数が少ないため、充分な貯蓄がない方も多いと思いますので、医療保険で備えておくということもひとつの方法ではないでしょうか。

40代

40代になると、結婚して子育て世帯となっている方が多くなります。

それと同時に、マイホームを購入する時期でもあるため、教育資金の確保と住宅ローンの支払いで金銭的に余裕がなくなる時期でもあります。

貯蓄に充分な額を回すことができず、大きな出費があるときには貯蓄を切り崩さなければならないこともあるでしょう。

このように、充分な貯蓄ができない時期は、医療費への備えは医療保険でカバーすることをおすすめします。

「保険料がもったいない」と思うかもしれませんが、もしもの場合に安心して治療を受けられるためにも検討してみましょう。

50代~

50代以降になると、お子さんたちも大きくなり、住宅ローンの完済も近づいてくる時期となります。

金銭的に余裕が出てくるため、老後資金の貯蓄に回せる分が多くなります。

しかし、年齢と共に病気やケガのリスクは高くなっていきますので、より手厚い保障の医療保険が必要になってきます。

将来的に介護が必要になるかもしれないことなども考慮し、医療・介護を含めた生活全般の保障を検討してみましょう。

まとめ

医療保険に加入する必要性は、その人の年齢や置かれている状況によって異なるものです。

健康なうちは医療費への備えについて考えることはあまりないかもしれませんが、医療保険は持病(既往歴)があると加入が難しくなります。

よく「病気をしてみて医療保険の大切さが分かった。これから加入したい。」という方がいますが、病気になってしまってからでは遅いのです。

加入するには審査を受けなければならず、持病(既往歴)があると審査に通りづらくなります。

医療保険の中には審査基準のゆるい「引受緩和型」もありますが、通常の医療保険に比べて保険料が高くなります。

保険料を払い続けるのはもったいないという考えもありますが、病気やケガで入院・手術をする可能性は誰しもあります。

その際に、治療費の心配をせず安心して治療に専念できるように、医療保険で備えておいてはかがでしょうか。